株式会社 村田製作所
電子デバイス、電子機器製品をグローバル市場へ提供する村田製作所様。同社のEMI事業部は、コモディティ市場や車載・産電市場などをターゲットとして、ノイズ対策ソリューションづくりを進めています。
同事業部が注目したのは、デファクトスタンダードになりつつあるコネクタ規格・USB Type-Cに由来する電磁ノイズ問題です。USB3.2では2.4 GHz帯で強いノイズが発生することが知られており、USB通信時のノイズにより、無線通信機器の通信速度の低下や通信品質劣化を引き起こす課題が顕在化していました。
この課題に対して、USBの標準化団体USB-IFは、USB通信に関する新たなノイズ規格を策定しました。同社ではいち早くノイズ対策ソリューションを確立し、テスト環境を構築する必要がありました。
EMI事業部は、USBデバイスの研究開発でノイズ対策にお困りのお客様へ向けて、ノイズ対策の実施例とソリューションを提供する必要がありました。RFIテストの詳細をいち早く調査し、評価環境を構築。RFIテストの測定原理を理解し、ノイズの発生メカニズムを解明することで、ノイズ対策の最適手段を確立しました。
具体的には、同社の代表的なノイズ対策製品であるコモンモードチョークコイル(CMCC)に加え、長年培ってきたノイズ対策の知識や経験を導入。RFIテストの手順書が指定する測定器、アンリツのスペクトラムアナライザ「MS2830A」を活用し、Type-CコネクタのGNDの強化や、 CMCCの設置箇所によるコモンモード信号抑制など、さまざまな対策を組み合わせてノイズ除去の効果を検証しました。
Type-CコネクタのGND強化によるインピーダンス整合、および信号配線上にCMCCを搭載する対策の組み合わせにより、コモンモードノイズが抑制された成果は、多くのお客様から高い評価を獲得。各種電子デバイスメーカーとの共同研究も進んでおり、同社のノイズ対策がデファクトスタンダードとなる可能性も期待されています。
今後、EMI事業部が向き合うコネクティビティ市場や車載市場では、デバイスの小型化、インタフェースの高速化、回路の高密度集積化がさらに進み、ノイズ対策がますます重要な課題になります。同社はアンリツに対し、最先端の通信技術を再現性の高いレベルで評価可能なシステムの提供を期待すると語っています。
スペクトラムアナライザ/シグナルアナライザ「MS2830A」
社名 | 株式会社 村田製作所 |
設立 | 1950年12月23日(創業1944年10月) |
資本金 | 694億44百万円(2023年3月31日現在) |
従業員数 | 73,164名(2023年3月31日現在/連結) |
事業内容 | ファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスの研究開発・生産・販売 |
生産品目 | 積層セラミックコンデンサ、表面波フィルタ、セラミック発振子、圧電センサ、セラミックフィルタ、圧電ブザー、近距離無線通信モジュール、多層デバイス、コネクタ、アイソレータ、電源、回路モジュール、EMI除去フィルタ、インダクタ(コイル)、センサ、抵抗器他、リチウムイオン二次電池 |
本社所在地 | 京都府長岡京市東神足1-10-1 |
URL | https://www.murata.com/ |