XRで高性能な通信が必要な理由、ご存じですか?

5GやWi-Fi 7などで高速化・大容量化が進む無線通信ですが、その高性能を存分に活かせるアプリケーションってどんなものがあるのでしょうね? そんな疑問をお持ちのあなたに、XR(クロスリアリティ)をご紹介します!
XRとは
XRとは、現実の空間と仮想空間を融合して新たな空間を生み出す先端技術の総称で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などを含みます。
ARは、簡単に言えば3D CGを現実空間に投影する技術です。家具の3D画像をリビングの画像に重ねて収まり具合を確認したり、フォトスポットでスマートフォンのカメラにお気に入りのキャラクタを登場させたり、などでお馴染みです。
VRは、自分が仮想空間に入り込んだかのような体験ができる技術。テーマパークのアトラクションや、3Dゲームで体験した方も多いでしょう。
MRは、ARやVRよりもさらに密接に現実空間と仮想空間を融合するものです。実際にはそこにないものを重ねて表示させ、位置や角度を自由に動かして体験できるもので、遠隔手術支援などが知られています。
ゲームやエンターテインメント業界に端を発したXRはビジネス界隈でも注目を集め、教育や医療、製造、建築などさまざまな分野に広がり始めています。
XRの技術的課題と高速通信の必要性
大注目のXRですが、導入や普及にはさまざまな課題があります。
XRゴーグルには装着者の動きを検知するセンサが搭載されていて、センサデータ送信には一般的には無線通信が使われます。
ホスト側は、受信データを瞬時に解析して装着者の動きに合わせた映像を生成、ゴーグルに送信し表示させますが、この映像はできるだけフレームレートが高く滑らか、かつ高解像度な必要があります。なぜなら、フレームレートが低いと「VR酔い」、解像度が低いと「スクリーンドア効果」など、生理的な違和感を引き起こしてしまうからです。
この「高解像度」「高フレームレート」こそが、無線通信に高性能を要求するのです。
XRで威力を発揮する高速・大容量通信
具体的な数字で示すと、解像度1920 × 1080 pix、毎秒60 フレーム、RGB各8ビットのフルカラー動画の場合、単純計算でも約3 Gbpsのデータ量になります。
XRでは専用ゴーグルで立体的に見せるため、左目と右目で微妙に違う映像データを別々に生成、送信しなくてはなりませんから、データ量はさらに増加します。
このデータ量を無線LANの性能にあてはめてみましょう。
IEEE 802.11ac/Wi-Fi 5は規格上の最大スループットは6.9 Gbpsですが、実際には規格値通りの性能は出にくいので、必要な性能に対してギリギリ、環境によっては性能不足の可能性さえあることがわかります。
一方、IEEE 802.11ax/Wi-Fi 6/6Eでは規格上の最大スループットは9.6 Gbpsですから、XRにおいても十分な性能であると考えられます。
このようにXRは、「高速・大容量」という次世代通信の特徴が発揮されるアプリケーションであり、対応デバイスは必要な能力を持っているかしっかり検証することが求められるのです。
XRについて解説したホワイトペーパーをご用意しておりますので、ぜひご覧になってください。
それにしてもあのごっついゴーグル、実は裏側で超高度なデータ処理を行っているのですね。テクノロジーのロマンを感じませんか!?