Wi-Fi 7、無線通信の試験には何があるの?

無線通信とかチンプンカンプンだった私ですが…ブログなどさまざまなコンテンツを作りながら学んでいたら、いつの間にか人並みの知識を獲得していました。
無線通信の進化は止まることなく続いており、特に無線LAN通信は、私たちの生活やビジネスには欠かせません。Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)はその次世代規格であり、対応機器の開発が進められています。無線LAN機器にはどのような試験が必要なのか、またその重要性についてご紹介します。
※本記事の内容は2025年6月時点の内容になります
Wi-Fi 7はどのような技術?
Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6/6E(802.11ax)の後継規格で、通信速度や接続安定性、同時接続数などが大幅に向上します。特に大容量のデータ伝送と低遅延通信を強化し、4K/8Kのストリーミング、AR/VRの利用、IoT機器の増加に対応するために設計されています。また、Wi-Fi 6/6Eと同様に、OFDMAやRU、Multi-Userなどの技術を採用しています。
たとえば、OFDMAは1つのチャネルを周波数軸上で分割できるため、AP1台と複数のSTAが同時通信できます。これにより、低速・小容量でデータ通信するモノが増えても周波数を独占するケースが減り、安定した通信を実現できます。さらに、Wi-Fi 6/6Eで拡張された周波数帯6 GHzに加えて、MLO機能が導入されました。6 GHzのチャネル帯域幅は最大320 MHzまで拡張され、高速かつ安定した通信が可能になります。
Wi-Fi 7対応無線LAN機器で試験が必要な理由は?
無線LANの通信が増えると、パケットの衝突や空き時間・空きチャネルの減少などの問題が発生します。結果として、「通信が遅い」「すぐに切れる」などのトラブルが増えてしまいます。
これらのトラブル解消に期待される技術が大容量のデータ伝送と低遅延通信を叶えるWi-Fi 7なのですが、その複雑さと新技術の多さから、実際に十分な性能を発揮するためには、無線LAN機器の開発段階でしっかりとした試験をしておくことが重要です。
たとえば、MLOや320 MHzの広帯域チャネル、さらに新しい変調方式であるQAMの導入などが、通信品質に大きく影響するため、細かい性能テストと信頼性のチェックが欠かせません。従来にない新しい通信技術の検証が、より高品質な機器の開発や、完成した機器の差別化に欠かせないとも言えると思います。
Wi-Fi 7対応無線LAN機器の試験
Wi-Fi 7対応無線LAN機器のRF性能試験には、専用測定器のワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aをお勧めします。MT8862Aは、IEEE 802.11be規格やその他の既存の802.11規格に沿った送信スペクトルマスク、スペクトルフラットネス、送信中心周波数漏れ、変調精度(EVM)などのRF送受信特性を評価できます。さらに、Multi-Userモードでも同様の評価が可能です。
使う環境によって、性能が大きく左右される無線LAN通信。高速で快適便利な無線通信をユーザに安心して利用してもらうため、対応機器には高い品質が求められます。機器の開発段階で、実際の使用条件を模擬した環境で試験することで、予期せぬ不具合やトラブルを未然に防ぐことが可能です。
無線LANは、通信の高速化と安定性向上のために、将来Wi-Fi 8としてさらに高度化・複雑化するかもしれません。試験環境の整備は、ますます重要になっていくでしょう。
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