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電波干渉問題 解決の糸口に使えるものは?

皆さまは、ノートパソコンやスマートフォンを使用しているときに、無線通信が途切れてイライラしたことはありませんか? こんなとき、無線測定器に関係するアンリツ社員は、電波干渉が原因の一つか? と真っ先に思ってしまい、社員特有の職業病だなと苦笑い。

私の場合その他に、ノートパソコン内蔵の無線LANモジュールがメイン基板から外れて通信できないことが判明し、情報システム担当者に「こんなこと聞いたことないよ」と珍しがられた経験あり。このときは、製造工程の不備かなぁとつぶやいて、製造業のアンリツ社員特有の思考回路が知らずに内蔵されてしまった自分を感じました。

※本記事の内容は2025年6月時点の状況を元にしています

電波干渉の問題は自分のこと?

ところで、いま話題のインバウンド(外国人による訪日旅行)問題に関して。日本国内の多くの観光地が、インバウンド需要に沸いています。このことで、日本経済に明るい話題が提供される一方、オーバーツーリズムが深刻な問題となっています。

その例として、公共交通機関や宿泊場所の混雑、文化の違いからくるごみのポイ捨てなどのマナー違反が挙げられます。また、一般的には知られていませんが、日本国内での使用が認められていない外国規格の無線機器による電波干渉問題も出てきています。

アンリツとしてはうってつけのこの問題、実は日常生活に悪影響がある大きな問題です。地球上には電波のことはよく知らない人が多くいることは事実でして、たとえば外国人が日本国内に持ち込む外国規格のトランシーバーや業務用無線機が、同じ周波数を使用する防災行政無線やテレビ放送の通信に悪影響を与える可能性があります。結果、災害時に一部の日本国民への通知手段が絶たれてしまう事態が想定されています。

こう考えると、電波干渉問題は、自分に降りかかる問題ともいえますね。ちなみに、インターネットで手軽に購入できる無線機器が外国規格のケースもあるようです。気になる方は、外国規格の無線機器の詳細を、総務省のWebサイトなどでご確認ください。

電波干渉問題の解決には

6月1日は「電波の日」。総務省は、外国規格の無線機器使用などの電波監視活動や、適正な電波利用実現のための啓蒙活動を常に行い、電波干渉問題などの解決に当たっています。6月は特に「電波の日」にちなんで、その活動を強化する期間となっています。

とは言っても、無線通信システム運用者は、電波干渉を受けて通信が妨害された場合、このような啓蒙活動による解決を待っていられません。こういったときに必要になるものの一例が、見えない電波を見える化するスペクトラムアナライザです。それによって、電波の強弱や周波数を確認しながら電波発信源を特定したり、日常的に電波状況を観測し続けたりすることができます。

最終的な通信妨害の排除には、総務省や警察等の捜査機関の協力が必要になるケースもあるかと思いますが、まずは解決の糸口を探るためにスペクトラムアナライザが役立ちます。最近では、電波の干渉状態を確認しやすいリアルタイムスペクトラムアナライザが、多く活用されています。

電波干渉に関心がある皆さまには、続きとして関連するWebサイト「通信トラブルを解決する3つのステップ」をご紹介します。