ものづくりの知っトク

仕様や納期の変更に波風を立てずに対応する方法

顧客の要件をヒアリングし、仕様に落とし込み、スケジュールや費用を含めて双方の認識も揃ったところで開発に着手。都度、確認をとっていたのに「やっぱりこの部分はこう変えたい」「もう少し早くリリースしてほしい」という要望が出てきた経験はありませんか? 「断りにくいから、無理をしてでも対応している」という方も、案外少なくないのではないかと思います。今回は顧客との関係性を維持しながら要望に対応をする方法をご紹介します。

その要望は本当に対応すべき?

まずは、なぜその要望があがってきたのかを確認しましょう。
例えば、ライバル企業が同様のサービスを自社より早くリリースすることがわかった、あるいはよりよい機能を搭載する予定であり、自社の仕様だと市場から選ばれないのは目に見えているなど、ビジネスに与える影響が大きい場合は対応すべきでしょう。
しかし、「できればお願いしたい」「可能なら」という程度の要望であれば、対応しなくてもよくなるケースもあるかもしれません。ヒアリングを丁寧に行い、双方の主張と譲歩できる条件の整理をして、お互いが納得できる着地点を模索しましょう。

波風を立てない調整方法

ここで調整方法の具体例を見てみましょう。

具体例1.実装に入ってから機能追加の要望があった場合

顧客「今、開発してもらっている機能に、この機能を追加してもらえますか?」
自分「機能の追加要件ですね。もう仕様も固まっていて、今から追加の場合は予算内に収まらない、公開スケジュールが遅れる可能性があります。まずは追加したい理由と機能の詳細をお伺いしてもいいでしょうか?」

具体例2.スケジュールを1か月早くしたいと要望があった場合

顧客「今、開発してもらっている案件、リリースを1か月早められますか?」
自分「これから開発に着手する仕様を削ることで早められるかもしれませんが、どうしましょう?」

このように返答することで、顧客が「どのくらい本気なのか」や何を重視しているかを確認することができます。また、顧客に予算、スケジュールなどどこまで影響が及ぶのかを認識してもらうこともできます。

お互いが気持ちよく仕事ができる関係性をめざしましょう

波風を立てずに仕事を進めるためには、時には面倒なこともあるでしょう。しかし、その面倒を「自分がなんとか頑張ればいいか」と対応していると、それが当たり前のような状況になり心身ともに疲弊してしまいます。
そうならないためにも、日頃からコミュニケーションをしっかりとる、ミスを起こさない、スケジュールは守る、など顧客から信頼が得られるように最大限努力することが大切です。
もし、難しい要望を通すことになった場合には、「スケジュール調整が難しかったですが、なんとかできそうです」など、”恩を売っておく”のも一案です。どちらか片方が無理や我慢をするのではなく、お互いが気持ちよく仕事ができる関係性をめざしましょう。