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その測定器は校正していますか〜ISO9001と定期校正〜

自分はまだまだ大丈夫と思っていても、定期健康診断で思わぬ結果が出て驚いてしまうことはありませんか?筆者の今年の健康診断の結果は、胃のX線検査で要再検査でした。おいしいものが食べられるように、さっそく胃カメラの予約をします。

皆さまの会社は、ISO9001の認証を取得していますか? ISO9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格で、認証を取得すると製品や企業に対する信頼は上がりますよね。製品の出荷検査ではさまざまな測定器が使われていますが、その測定値の誤差が大きいと、製品の品質を保証することができません。たとえば人間が定期的に健康診断を受けるように、測定器も定期的に校正が必要なのです。

どうして校正が必要?

多くの場合、アンリツの電子測定器は電子部品や通信装置、電波環境などの性能を評価するために使用されます。測定器が表示する値が信用できるという前提があるのです。しかし、どんな製品も時間とともに性能に変化が生じます。測定器の精度も例外ではありません。そのため測定器の値を基準値と比較して、どれくらい違いがあるか確かめる作業が必要になります。この作業を「校正」と呼びます。

たとえ経年変化で測定値と基準値のずれ量が変化していたとしても、ずれ量を差し引けば良いのです。高周波電力を測定するパワーメータであれば、このずれ量を補正する値を設定することができます。

ML2437A

ISO9001が要求していること

ISO9001の7.1.5 項では、監視及び測定のための資源に関して、測定器に対する「適正な管理」を要求しています。

7.1.5.2 a)で「定められた間隔で又は使用前に、国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証、又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いたよりどころを、文書化した情報として保持する。」と記載があり、測定器の校正を適正に実施することが求められています。

また「測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合、組織は、それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし、必要に応じて、適切な処置をとらなければならない。」とあり、場合によっては出荷した製品の回収・再検査などが必要になるかもしれません。

いつ、どうやって校正する?

校正対象は、国際計量標準または国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準がある物理量です。具体的には長さ、質量、時間、温度、エネルギー(電力)などになります。「定められた間隔」は計量法などの法律で定められていない場合、事業者が間隔を定めます。測定器の使用環境や使用頻度を考慮して校正間隔を設定することが望ましいですが、そこまで厳密に検討することは少なく、一般的には1年に1回か2回で校正を実施するのが現実的です。

校正用の計量標準を入手するのは簡単ではありません。国家標準を管理している機関に、計量標準とする物の値付けを依頼する必要があります。計測器メーカは値付けした計量標準を社内に保有していますから、メーカに校正を依頼する方が手続きは簡単でしょう。校正時期と予算の面でも、校正の間隔は1年単位で計画すると管理がしやすくなります。

 

定期的な校正が大事な理由がお分かりいただけたでしょうか?製品品質を維持するためにも、測定器も定期的に校正しましょう。

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