「迷惑電波、お断り!」~ものづくりと電波法~

企業のものづくりは、さまざまな法令の下で行われています。
食品であれば食品衛生法や食品表示法、日用品やおもちゃなら消費生活用製品安全法、住宅や建物なら建築基準法など、さまざまな法令を守ることが求められます。
同じように、電波を出す製品をつくる場合、「電波法」に定められた条件を満たさなくてはなりません。今回は、電波法と法に適合していることを示す技適マークについてお話しします。
電波法とは?
電波法は、電波の公平かつ効率的な利用を目的として1950年に制定されたものです。 私たちの身近なスマートフォンや無線LAN、家電製品、さらには警察や消防などの業務無線、レーダや衛星通信、テレビやラジオ放送など、現代社会で広く利用されている無線システムの円滑な運用を実現しています。
大切なのは「他の無線通信に迷惑をかけないこと」
たとえば、あなたがあるアパートの1号室に住むことになったとします。お隣2号室の住人が、夜な夜な大声で歌ったり、あなたの居住スペースにはみ出して物を置いたりしたら、あなたは安心で快適な生活ができなくなってしまいますよね? そうなったら、同じ思いをしている3号室の住人と一緒になって、大家さんに相談に行くしかありません。
電波は空間を伝わっていろいろなところに届きます。他の人の通信と重ならないように、用途によって周波数が決められています。ところが、電波が不安定で決められた周波数から外れてしまったり、与えられた周波数の外にまで電波が漏れ出したりすると、隣の周波数を利用している無線通信に悪影響を及ぼします。
雑音を与えて通信品質を低下させたり、最悪の場合は通信障害を引き起こしたりするなど、大きな迷惑をかけてしまうでしょう。
電波法は、あなたの無線機がこのような迷惑をかけないようにするためのルールです。 さまざまな無線システムが共存し、安定した通信ができる環境づくりに役立っているのです。
電波法に適合していることを示す「技適マーク」
電波法には、大きく以下のような4つの規制があります。
- 無線局(無線機とそれを使用する人)の開設や免許に関すること
- 無線機や設備の性能に関すること
- 無線機や設備を使用できる人(無線従事者)に関すること
- 無線機や設備を使用するときのルール
このうち、ものづくりで特に強く関わるのは「2. 無線機や設備の性能に関すること」です。この規制では、決められた周波数範囲内で電波を使用していることや、それ以外の周波数で出てしまう電波の強さなど「電波の質」を定めた技術基準に適合することが求められます。この検査を「技術適合試験」と呼びます。
ただし、小型の無線機(特定無線設備)の場合は「技術基準適合証明」を受けることで免許審査が大幅に簡略化でき、この技術基準適合証明がなされた特定無線設備には「技適マーク」が付けられます。私たちが一般的に目にするようなスマートフォンやコードレス電話や無線LANなどのほとんどに「技適マーク」が付いており、家庭内や職場でそのまま使うことができます。
つまり「技適マーク」は、無線通信機能を持つ機械が電波法の技術基準を満たしていることを示し、安心して使えることをお客さまに伝える、重要なマークなのです。
いかがでしたでしょうか?ふだん意識することはありませんが、実は私たちが使うスマートフォンや無線LANなどの無線機器とは切っても切れない関係にある「電波法」。あなたの設計している無線機がどんな電波を出しているのか、電波法的に大丈夫なのか、もし気になってきたら、ぜひアンリツの測定器をご検討ください!