お客さまの環境で無線通信性能を最大化するコツ

出張の際、皆さまは新幹線や飛行機を利用しますか?筆者も仕事で利用していますが、行楽シーズンに出張先で観光客と出会うと、「このままどこかへ旅行したいな」と思うことがあります。
さて、皆さまは出張先でデモや設置説明を行った際、製品の性能が期待通りに発揮されず、苦労した経験はありませんか? 特に無線通信機器では、本来の性能を発揮するために製品の性能確認と使用環境での接続性確認が重要です。
今回は、無線LAN製品に必要な性能評価方法と接続不具合の原因について、事例を交えてご紹介します。
無線LAN製品の性能確認
無線LAN機能を搭載した製品(以下、無線LAN製品)をお客さまに提供する際、事前の確認が成功の鍵を握ります。この確認では、市販のアクセスポイント(AP)やPCを使用して以下のテストを行います。
- 接続安定性テスト
複数のAPを使用して接続の安定性を確認します。パケットキャプチャツールで、パケットロスやエラーをチェックします。 - 通信距離の測定
無線LAN機器をAPと離したり近づけたりして、通信可能な距離と信号強度の変化を把握します。 - データ転送速度のテスト
スループット測定ソフトウェアやスループット測定機能付きAPでデータ転送速度を確認します。
これにより、基本的な性能を確認できます。
使用環境における課題
無線LAN製品は、製品単体の評価に加え、使用環境に依存する要素も考慮する必要があります。
出張先のデモなどで下記のような経験はありませんか?
「実験室でのテストでは動作していたのに、お客さま環境では想定通りのスループットが出ない。ネットワーク環境が原因かもしれない」、「製品の位置や向きが変わるとスループットが低下する」
製品の基本機能や性能に問題がなくても、使用状況次第で最高のパフォーマンスが発揮できなければ、お客さまにも満足いただけません。無線通信の品質は使用環境により大きく変動するため、予期せぬ要因が性能に影響を与えないよう、環境を含めた評価が必要です。
無線LANの接続が不安定になる主な原因
無線LANのスループットが出ない原因として、以下が考えられます。
- 電波干渉
他の無線機器や電子機器からのノイズにより通信エラーが発生し、データの再送信が必要になることがあります。 - 障害物や距離
金属や鉄筋コンクリートなどの障害物、あるいはAPとの距離が原因で信号が減衰することがあります。 - ネットワークの混雑
同時に多くの機器が接続すると、データ集中で通信速度が低下することがあります。
これらの原因の多くは環境によるものです。簡易的には解析用フリーソフトで解析できますが、無線LAN以外の信号干渉の調査には別の手段が必要です。詳しくは無線LAN電波環境の調査方法をご覧ください。
解析用フリーソフトでも問題なく、その他に考えられる原因が見当たらない場合、無線LAN製品自体に原因があるかも知れません。その際は、無線LAN製品の通信性能を詳細に評価することをお勧めします。
無線LAN製品の通信品質の確認には、アンリツの測定器をご検討ください。