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新製品に無線LANを搭載するときの注意と評価方法

日本には古くから縁起の良い「初物」を楽しむ習慣があります。春の初鰹、秋の新米など、季節の始まりには旬を感じる、初物の食材を思い浮かべるのは食いしん坊の筆者だけでしょうか?

さて、初めての機能を備えた新製品には社内の期待が高まりますが、市場に投入して好調な売り上げを達成したとしても、品質問題が発生すれば大きな損出を招く可能性があります。今回は、そのような事態にならないように、電子機器に無線LAN機能を搭載する際のポイントと通信品質の評価についてご紹介します。

無線LAN機能を電子機器に搭載するときのポイント

無線LAN機能を電子機器に搭載するためには、無線LANモジュールの活用が一般的です。高周波回路やプリント基板設計など高度な技術的知識が不要で、電波法認証を取得済みのモジュールを使えば、開発スピードも向上します。また、必要なハードウェアとソフトウェアが統合されているため、安定性と信頼性も高まります。一方で、製品コスト削減が難しく、製品のデザインや消費電力にも制約が出る可能性があります。また、内蔵アンテナ型モジュールは自社設計に比べ最適な性能が得られない場合があります。
モジュール選定時には、対応規格、電気的仕様、サイズ、評価用ボードの有無を確認することが重要です。

無線LANモジュールを実装する時の注意点

無線LANモジュールは無線通信機能の検証が済んでいますが、製品に組み込む際は通信品質に影響する無線性能を損なわないように設計する必要があります。

  • モジュールの位置:ノイズ源から離し、アンテナの位置や向きを考慮して決定します。
  • アンテナの配置:内蔵アンテナがない場合は通信性能が最適となる位置にアンテナを配置し、2×2 MIMOでは相関性を考慮します。
  • 配線の引き回し:アンテナとして作用しないよう工夫し、グランド強化やシールドで干渉を抑えます。
  • 電源とグランドの設計:ノイズが発生しないよう、モジュールの仕様に応じた対策を行います。

これらのポイントを踏まえ、無線性能の低下が生じないように細心の注意を払うことが大切です。

無線LAN製品の無線性能評価の重要性

社内環境で通信品質を評価しても、実際の使用環境や状況によっては、接続の不安定性やスループットの低下が発生する場合があります。Access Point(AP)やPCを使用した簡易的な評価だけでは、通信品質に影響する無線性能を十分に評価できないためです。無線LANモジュールは単体で無線性能が保証されていますが、製品に組み込まれる際にシャーシやEMC対策の影響で無線性能が低下する場合があります。

そのため、製品として安定した通信品質を確保するためには、測定器を使用して無線性能を定量的に確認する必要があります。基本的な評価方法として、送信電力試験で電波の強度を測定し、パケットエラーレート(PER)を計算する受信感度試験を行います。 期待の新製品ですので、最終製品の形態で目標とする無線通信性能を達成していることが重要ですね。

 

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