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どの無線LANモジュールを選べばいいの?

先日、新しいスマートフォンをネット注文したところ、充電用ケーブルの端子が以前のモデルと違い、手持ちの充電器と合わず焦りました。大事なことを見落としてしまうのって困りますよね。IoT機器開発でも、無線LANモジュールの選定時に重要なポイントを見落としがちです。今回は、そのポイントをご紹介します。

一体、どの無線LANモジュールを使えばよい?

無線LANモジュールは複数のメーカからさまざまな製品が出ています。それぞれに特徴があるため、どれを選べばよいか迷ってしまいます。
とはいえ、開発期間も予算も決まっています。開発する機器に必要な性能や条件を明確にし、カタログをベースに、候補を絞り込まなくてはなりません。具体的には、無線LANの規格のほか、コストやサイズ、動作温度などの通信以外の要件も踏まえて大まかに候補を選別していきます。

その次に、候補のデータシートを見比べて要求性能を満たすモジュールを絞り込むのですが、ここからが難しいところです。メーカ各社のデータシートはフォーマットや内容もまちまちで、スペックを詳細に公開しているところもあれば、自社の強みのみアピールし、細かな部分には触れないところもあります。

カタログに載らない重要な情報として、無線性能を挙げることができます。IoT機器はノイズや障害物などの影響を受ける、厳しい環境で使用する場合があります。その環境に弱い無線LANモジュールでは、本来の性能を発揮できません。
そのため、無線性能(RF性能)がもっとも重要と言えます。コストやサイズも重要ですが、厳しい無線環境下で安定した通信ができるかが選定の肝です。その性能データは、実際にRF性能を測定することでしか把握できません。

RF性能の評価方法とは?

RF性能とは、大きく「送信性能」と「受信性能」の2つに分けられます。送信性能は電波の強さや周波数が規定通りか、ノイズがないかを測定器で数値化。受信性能は受信感度や妨害波への耐性をチェックします。

通常、無線LANモジュールの評価キットがメーカから提供されており、これを使って性能をチェックできます。

どのような試験をすればよいかは、IEEE 802.11規格の各章に具体的に記載されています。しかし、この試験方法や条件は数が多く、専門知識が必要なことから、汎用的な測定器で試験をするのは現実的ではありません。そのため、IEEE 802.11規格に準拠した専用の無線LANテスタが必要になってきます。

 

まとめると、無線LANモジュールはカタログ情報で候補を絞り込み、それを評価用に少量購入するなどして、RF性能を開発の初期段階で確認するのがお勧めです。IEEE 802.11規格に準拠した測定器を使い、しっかりと評価しましょう。

無線LANモジュール選定を誤ると、開発が大きく手戻りするリスクがあります。皆さんも、選定の際は、これらのポイントを意識して、より良い製品開発につなげていってください!