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注目の60 GHzミリ波レーダ・センサ

さまざまな分野で進むスマート化。その進化の一翼を担っているのが「レーダ・センサ技術」です。なかでも「60 GHzミリ波レーダ・センサ」は、暗い場所や悪天候でもしっかり物体を見つけてくれる頼もしい存在。自動車やスマートホーム、工場、医療など、いろいろな分野で注目されています。

今回は、この60 GHzミリ波レーダ・センサの最新トレンドや開発現場でぶつかる課題とその解決策を、エンジニア目線でご紹介します。

活用が進む60 GHzミリ波レーダ・センサとそのアプリケーション

60 GHzの周波数帯は、波長が短く、利用可能な無線周波数帯域幅が広いという特性があります。波長が短いことで、数センチ単位の細かさで距離や物体のサイズを測定できます。しかも、アンテナや無線モジュールをコンパクトにできるので、機器の狭いスペースへ組み込みやすくなります。

これら利点により、活用の場はどんどん広がっています。無線の免許不要で使える国も多いので、今後ますます身近な存在になりそうです。以下は、代表的なアプリケーションです。

自動車分野

車内の置き去り検知や座席の位置把握、居眠り運転の兆候検知など、安全・安心な運転環境の実現に貢献。服や毛布越しでもバイタルサインを検知できるので、従来の方式よりも頼りになります。

医療分野

非接触で患者の在室状況や転倒を検知したり、バイタルサインをモニタリングしたりできます。映像を伴わないため、監視カメラの利用が難しい浴室やトイレでも利用できます。また、リハビリ中の患者の動作解析にも活用されるなど、医療機関の安全管理などの向上に貢献しています。

製造・物流分野

作業員の入退室検知や設備監視、ロボットとの協調にも使われています。厳しい環境でも安定して動作するので、スマートファクトリーの実現にも一役買っています。

さらに、セキュリティゲートやスマートフォンへの応用も拡大しており、今後の動向から目が離せません。

技術課題とその試験ソリューション

高精度なセンシングを実現するには、いくつかの壁もあります。たとえば、アンテナ設計や材料選びはとても大事。60 GHz帯は金属に反射しやすく、また水分に吸収されやすいので、材料の誘電率や損失特性が性能に直結します。他の無線システムとの干渉や、各国の法規制への対応も避けて通れません。

電波を測定する際は、周波数偏差や帯域幅、空中線電力などを正確に評価する必要があります。ミリ波の周波数帯の測定に対応した高機能なシグナルアナライザは高価ですが、スペクトラムアナライザの測定周波数範囲を拡張できる外部ミキサと組み合わせればコストダウンも可能。ただし、イメージレスポンス除去などの工夫が必要です。

材料評価にはベクトルネットワークアナライザ(VNA)を使い、共振器法や電波伝搬法で誘電率を測定します。

こうした課題を一つひとつクリアしていくことで、より信頼性の高い製品開発が実現できます。

ホワイトペーパー「60GHzミリ波レーダ・センサの可能性と測定課題」でさらに詳しくご紹介しています。

おわりに

60 GHzミリ波レーダ・センサは、これからのスマート社会を支えるキーテクノロジーです。高精度・小型・多用途という強みを生かして、いろいろな分野で活躍が期待されています。一方で、法規制や材料選び、測定技術など、開発現場ならではの悩みもたくさん。でも、エンジニアのみなさんなら、きっと最新技術やノウハウを駆使して、より良い製品を生み出せるはず。これからも、ミリ波レーダ・センサの進化にワクワクしながら、一緒にチャレンジしていきましょう!