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初心者がつまずきやすい「スペアナ」

電気や無線信号の測定で、初心者が最初に直面する壁がスペクトラムアナライザ(スペアナ)ではないでしょうか? 今回は初心者が特につまずきやすいポイントを、できるだけ易しい言葉で整理してお伝えします。

横軸の意味がつかめない

初めてスペアナの画面を見ると、初心者の多くは「横軸=時間」と誤解してしまいがちです。これは、学生時代に横軸が「時間」のオシロスコープを使用した経験の影響かもしれません。

スペアナの横軸は 時間ではなく “周波数” を表しています。

スペアナは電気や無線信号の周波数成分がどれくらいの強さ(電力)で含まれているのかを一目で確認できます。画面の左端は低い周波数、右端は高い周波数を示しています。
スペアナは「周波数を“見る”機械なんだ」という理解が最初の重要ポイントです。

縦軸の読み方が難しい

スペアナの縦軸は電力を表しており、一般的に dBm 表記 で示されます。「dBm」は、電力を対数スケールで表した単位で、「1ミリワット(mW)」という基準の電力と比べて、どのくらい強いか・弱いかを表します。

たとえば「0 dBm」は1 mWと同じ強さ、「10 dBm」は1 mWの10倍(約10 mW)、「-10 dBm」は1 mWの10分の1(0.1 mW)です。

電力レベル ミリワット換算
+30 dBm 1 W
+20 dBm 100 mW
+10 dBm 10 mW
0 dBm 1 mW
–10 dBm 0.1 mW
–20 dBm 0.01 mW

電気や無線の分野では、0.00001 mWのような小さい電力を扱うことも多くあります。「mW」で表すと桁数が多くなる一方、「dBm」を使えば-50 dBmのように少ない桁数で表すことができるので便利です。

スペアナの画面では、縦軸が上に行くほど信号が強い、下に行くほど信号が弱いことを示しています。

掃引時間と測定の関係がわからない

スペアナの内部には、「ローカルオシレータ(LO)」という部品が入っています。このLOの周波数を少しずつ変えながら、いろいろな周波数の信号の強さを調べます。

ただし、スペアナはそのままだと高い周波数の信号を直接測ることができません。そこで、LOが作り出す電波と測りたい信号を混ぜ合わせて、測定しやすい「中間周波数(IF)」に変換します。こうすることで、幅広い周波数の信号を測定できるようになります。

LOの周波数をどれくらいの速さで動かすかを決めるのが「掃引時間(Sweep Time)」です。掃引時間は、信号をどれだけ正確に測れるかに深く関係しています。

もし掃引が速すぎると、信号を選ぶフィルタ(信号を選別する部品)が実際の信号の変化に追従できません。その結果、本当の信号の強さ(ピーク)が画面に正しく表示されなくなります。逆に、掃引時間が長すぎる(動きがゆっくりすぎる)と、正確な測定はできますが、結果が出るまでに時間がかかってしまいます。

つまり、スペアナを使うときは「速さ」と「正確さ」のバランスを考えて、掃引時間をうまく調整することが大切です。

スペアナを難しくしているのは専門用語の多さにあるかもしれません。しかし一つ一つを分解して理解すれば決して難しくありません。

 

もっと詳しい話は、アンリツの「測定のツボ」でご紹介しています。
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