無線設備の受信性能『最小受信感度』とは?
『最小受信感度』とは?
以前ご紹介した、『無線設備の受信性能とは?』のツボでは、無線設備は「どの程度の距離まで離れて受信できるのか」という性能評価を実施することと、受信性能が「良い」無線設備であるほど弱い電波でも受信できるということをご紹介しました。
無線設備には、様々な通信方式やサービスがあります。さらに装置メーカ・機種・モデルなども数多く存在します。
それらの受信性能がばらばらでは、安定した通信環境構築とサービス提供が難しくなります。
そのためそれぞれの通信方式やサービスに該当する規格には送信特性や受信特性などの評価項目や許容値などが規定されています。
今回の『最小受信感度』は受信性能の評価項目の一つであり、文字通り『受信できる最小の感度(レベル)』ということになります。
一般的に受信感度の試験では、信号発生器から試験用の信号を出力して、それを無線設備で受信します。
受信する信号のレベルが適切な場合には無線設備の受信状態も良好ですが、信号レベルが低くなり電波が弱い状態になると無線設備の受信状態が悪化して最終的には受信できない状態になります。
ここで「良好」「悪化」という状態を明確に定義しなければ定量的な評価ができません。
そこで、一般的にはBER(Bit Error Rate)やPER(Packet Error Rate)などエラーが発生する受信レベルを確認します。
図2測定系のイメージとして、無線設備で復調したデータとクロックを取り出して外部のBER測定器でエラーをカウントするケース(図2-1)や、無線設備にBERやPERをカウントする機能が内蔵されていれば外部のPCから結果をモニタするケース(図2-2)などがあります。
図3では例として、最小受信感度の許容値が「-100dBm以下(BER=1%)」とします。
これは、BERが1%になる受信レベルを確認して、それが-100dBm以下であれば良いということです。
試験では、まず受信レベルが適切な範囲ではエラーが発生しないのでBER=0%です。
そして、少しずつ信号発生器の出力を下げて無線設備の受信レベルが低くなるとエラーが発生します。
仮にBER=1%になった時の受信レベルが-105dBmとすると、規格感度(例:-100dBm)よりも低いので合格と判定します。
ここで「BERとPER」、「エラーレートは何%?」、「感度レベルは何dBm?何dBuV?」、など評価の条件はそれぞれの規格で異なります。
必ずそれぞれの通信方式やサービスに該当する規格には送信特性や受信特性などの評価方法や許容値などを確認してから試験を実施するようにしましょう。
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■ 最後に、確認クイズです!
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問題:図3の例の通り最小受信感度の許容値が「-100dBm以下(BER=1%)」とした場合、BER=1%になった時の受信レベルの判定について、正しい説明は1~3のどれでしょう。
1.-110 dBmの場合、規格感度よりも低いので「合格」と判定する。
2.-100 dBmの場合、規格感度と同じなので「不合格」と判定する。
3.-90 dBmの場合、規格感度よりも高いので「合格」と判定する。
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皆様のご回答お待ちしております。
以上
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