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無線設備の送信評価で使用する測定機能<第5弾> 空中線電力

 
<参考>
第1弾: 周波数カウンタはこちら

第2弾: 占有周波数帯幅 はこちら
第3弾: 隣接チャネル漏えい電力はこちら
第4弾: スプリアスはこちら

       

無線設備規則は、周波数、占有周波数帯幅、スプリアス発射*1、空中線電力、隣接チャネル漏えい電力など無線設備等に関する条件を規定する総務省令です。
1:スプリアス発射又は不要発射の強度

第5では、スペクトラムアナライザの測定機能の一つであるパワーメータ機能をご紹介します。
  注)単体のパワーメータ/センサの解説ではありません。

空中線電力の許容偏差:
空中線電力の許容偏差は、無線設備規則の第十四条に記載されています。
コチラも合わせてご覧ください:「無線設備規則<第5弾> ~ 空中線電力 ~


空中線電力の測定設備:サーマル型とダイオード型のパワーセンサ

空中線電力を測定する方法/手順は、それぞれの無線設備に対応する証明規則に準じて評価します。
はじめに、証明規則の測定器の条件等には「高周波電力計は、熱電対またはサーミスタによる熱電変換型とする」と記載されています。
しかし、最近ではダイオード型のパワーセンサをご利用いただくケースが増えています。
理由は2つあります。(弊社、サーマル型MA24002Aとダイオード型MA241xxAの比較例)
一つ目は、パワーセンサの測定下限と搬送波のレベル比が小さい場合には測定結果が安定しないためです。
(図
1-1)サーミスタ型よりもダイオード型の方が測定レベル範囲が広いため、搬送波のレベルが低い場合でも比較的安定して測定できます。
そのため、測定精度を重視する用途では測定レベル範囲が広いダイオード型をご利用いただくケースが多いです。
二つ目は、搬送波がバースト信号の場合、バーストのON区間とOFF区間の比率が同じになるように測定対象範囲を指定できないと測定結果
が不安定になるためです。
ダイオード型はアパーチャ時間機能*
2という設定により測定対象時間をバースト周期×整数で指定できます。

*2:メーカ/機種/オプション等により対応の有無は異なります。


もちろん、メーカ・機種によってパワーメータ/センサの仕様はさまざまです。
サーマル型でも測定レベル範囲が広かったり、ダイオード型でも測定対象時間を指定できないケースもあります。
さらに無線機の仕様によっても異なります。
被測定物から十分高い信号レベルを出力できればパワーセンサの測定レベル範囲の影響は少ないですし、連続信号を送信できれば測定対象時間を指定する必要もありません。
基本的にはサーミスタ型とダイオード型で測定結果の相関はありますので、被測定物の信号仕様や用途/目的に合わせて測定設備を選択いただくことが重要です。


202402-測定のツボ図1-1.png


1-1:パワーセンサの測定下限と搬送波のレベル比 (イメージ図)


202402-測定のツボ図1-2.png
1-2:バーストのON区間とOFF区間の比率 (イメージ図)



空中線電力の測定機能:パワーメータ機能

メーカ・機種によりますが、電力計(パワーメータ)の測定機能が実装されている製品もあります。

パワーメータの測定機能について、弊社のスペクトラムアナライザ MS2830A/MS2840Aをサンプルとして解説します。
この機能では、外付けのUSBパワーセンサを本体に接続し、被測定物の出力信号をUSBパワーセンサに接続します。
USBパワーセンサにはモニタがないので、本体に数値結果を表示します。測定系のロスの値を、レベルオフセットに正しく設定してください。

パワーメータ機能では、電力を『W』『dBm』で表示します。


202402-測定のツボ図2.png


2 測定系イメージ



測定対象時間の指定(アパーチャ時間)について、一例として弊社のMS2830A/MS2840AUSBパワーセンサ(MA24108A/MA24118A/MA24126A)の場合、下記の条件で設定できます。

  時間設定範囲:0.01 ms300ms  分解能:0.01 ms

たとえば、一般的な業務用無線ではバースト周期が40ms80msと規定されています。
この場合、バースト周期の整数倍(例:
240ms)に設定すると、どのタイミングで測定してもON区間とOFF区間の比率が同じになります。
さらに測定結果を安定させたい場合には、最大
1000回まで平均化できます。

バースト信号の平均電力を測定する際には、アパーチャ時間機能の活用もご検討ください。

202402-測定のツボ図3.png3 アパーチャ時間設定画面例(例:MS2840A


アンリツ製品 ラインナップ

可搬型(ハンドヘルド)のスペクトラムアナライザでも、外付けのUSBパワーセンサと組み合わせることでパワーメータ機能をご利用いただけます。
保守や登録点検など屋外に持ち出して評価される際には、小型
/軽量/バッテリ駆動のハンドヘルドスペクトラムアナライザをおすすめします。                                          
     

202402-測定のツボMA24108A.png

マイクロ波 USB パワーセンサ MA24108A/MA24118A/MA24126A

   周波数範囲:10 MHz8/18/26 GHz

   レベル範囲:-40 dBm +20 dBm

マイクロ波ユニバーサルパワーセンサ MA24208A/MA24218A

   周波数範囲:10 MHz8/18 GHz

   レベル範囲:-60 dBm +20 dBm


202402-測定のツボMS2090A.png

フィールドマスタ プロTM MS2090A

   周波数範囲:9 kHz 9/14/20/26.5/32/43.5/54 GHz

   解析帯域幅:22/55/110 MHz
   
寸法・重量:314 x 235 x 95 ㎜・約5.4 kg

202402-測定のツボMS2080A.png

フィールドマスタTM MS2080A
   
周波数範囲:9 kHz4/6 GHz

   解析帯域幅:20/40 MHz
   
寸法・重量:290 x 212 x 96 ㎜・約3.8 kg

フィールドマスタTM MS2070A

   周波数範囲:9 kHz3 GHz

   解析帯域幅:20 MHz
   
寸法・重量:290 x 212 x 96 ㎜・約3.8 kg

202402-測定のツボMS2720T.png

スペクトラムマスタTM MS2720T
 
周波数範囲:9 kHz 9/13/20 GHz

  寸法・重量:315 x 211 x 77 ㎜・約3.74.4 kg

アンリツ製:USBパワーセンサ・スペクトラムアナライザ

                                

※本記載内容は2024年2月1日現在のものです。


【関連製品/資料のご紹介】                                  

製品ページ:

シグナルアナライザ MS2830A

デジタル業務用無線機の送信試験に:デジタル業務用無縁器 自動測定機能 MX283060A

フィールドマスタ プロTM MS2090A <周波数範囲:9kHz~9/14/20/26.5/32/43.5/54GHz>

フィールドマスタTM MS2080A <周波数範囲:9kHz~4/6GHz>

フィールドマスタTM MS2070A <周波数範囲:9kHz~3GHz>

スペクトラムマスタTM MS2720T <周波数範囲:9kHz~9/13/20GHz>


関連資料:

デジタル業務用無線機 自動測定機能 MX283060A(製品紹介)

デジタル業務用無線機 自動測定機能 MX283060A(リーフレット)

アナログ無線機自動測定ソフトウェア MX283058A(操作手順)





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アンリツ株式会社 通信計測カンパニー グローバルセールスセンター 通信計測営業本部 第1営業推進部

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